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第 52 回2017年9月1日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (12):漢字語の理解⑩- (執筆者:奎星)

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 前回に引き続き、音の変化が聞き取りに際し支障をきたす場合がある漢字語について見てみましょう。

■ 漢字語の前に来る語との連なりが問題になる場合
漢字語の中には、最初の音節の初声がないものも多くあります。このうち、とりわけ以下に見るような語は、必ず前に何らかの語が用いられますが、前に来た語がㅇを除いた終声で終わる場合は、その終声が初声化して現れることが多いので注意しましょう。

■ 漢字語内部での音変化が問題になる場合
 漢字語の中には、漢字語内部での音変化が聞き取りに支障をきたしうるものもあります。

① 終声の初声化

 漢字語において、二音節目以降の初声がㅂ, ㄱ, ㅁ, ㄴ, ㄹのいずれかである場合は、それが前の音節の終声である可能性も疑ってみるようにしましょう。

② 激音化

 漢字語において、二音節目以降の初声が上に見るようにㅋである時は、쾌(快)である場合を除いては、前の終声ㄱが激音化して初声になっていると考えてください。
 また、입학[이팍](入学)などに見るように、終声ㅂが激音化して、初声ㅍになることも多いので注意しましょう。

③ 流音化

 漢字語内で、終声ㄹと初声ㄹが続いている場合は、前の終声ㄴがㄹに変わっている可能性がありますので、ㄹで考えて置き換えてしっくりこなければ、ㄴに変えて置き換えてみてください。
もちろん、결론(ケツロン 結論)のように、終声が本来ㄹの場合もあります。

④ ㄹの鼻音化

 漢字語において、鼻音の終声ㅁ, ㅇのあとに初声ㄴが続いている場合、その初声の本来の音はㄹであるかもしれません。

 以上、2回にわたって、音変化が漢字語の聞き取りに支障をきたしうる場合について見てきました。
それと共に、『トウミ』の3級語彙リストの漢字語のうち、日本語で同じ語が対応するものだけを選んで、最も重要な置き換え規則に当てはまるものを例に挙げてきました。
 いかがでしょう? 規則にも慣れてきましたか? 以前に比べて理解できる語彙が徐々に増えてきているように感じませんか?
 次回以降もこの調子で、漢字語を理解する上で助けになるポイントについて、引き続き見ていきましょう。

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第 51 回2017年8月2日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (11):漢字語の理解⑨- (執筆者:奎星)

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 前にもお話ししたように、韓国・朝鮮語は、正書法で書かれたとおりに発音されず、文字と音の間にズレが多くありますが、これは漢字語の場合も同様です。漢字が連なり語を作り上げる上で、最も重要な置き換え規則で見て来た音に変化が生じます。
 文字言語の場合、正書法に則って書かれますのでさほど問題にはなりませんが、音声言語の場合、音の変化が聞き取りに際し支障をきたす場合があります。
 今回から二回にわたり、このような漢字語を大きく4つの場合に分けて見てみましょう。取り上げる語彙は、これまでと同様、すべて『トウミ』の3級のリストに掲載されているもので、なおかつ「감동(感動)=カンドウ(感動)」のように、韓国・朝鮮語の漢字語と日本語の漢語がそのまま対応するものです。

■ 漢字語に하다が続いた場合
 漢字語の中には、하다が付いて動詞や形容詞になるものがあります。例えば、감동(カンドウ 感動)に하다が付いて、감동하다(感動する)という動詞ができあがります。前回までに見て来た漢字語の中にも、このような語が少なくありませんでした。
 このような漢字語のうち、간단(カンタン 簡単)のようにㅇ以外の終声で終わる漢字語に하다が続いた場合は、終声が初声として発音されるので注意が必要です。

 このような場合は、初声になった部分を終声に戻して、あくまでも終声の置き換え規則を適用しなければなりません。最も重要な置き換え規則で、初声ㄴは「ナ行」に相当しますが、終声ㄴは「ン」になるのでしたよね。
 では、他の例で練習してみましょう。表中、一番左の列は、漢字語に하다が続いたものが音声言語で用いられた場合の形です。初声を終声に置き換えた後、最も重要な置き換え規則を適用させてみてください。

『トウミ』の3級語彙リストの中には、このような漢字語が他にも多くあります。

■ 漢字語に助詞や指定詞이다が続いた場合
終声で終わる漢字語の後ろに続き聞き取りに支障をきたす可能性があるのは、하다だけではありません。主に名詞である漢字語に続く助詞や指定詞이다も問題になることが多くあります。
まず問題になるのは、ㅇ以外の終声で終わる漢字語に、初声がない-이, -을, -으로, -은などの助詞や指定詞이다が続いた場合です。この場合も、先に見た하다の場合と同様、初声になってしまった終声を、しっかりと終声に戻してください。

また、終声ㅂやㄱで終わる漢字語に、-만のように鼻音で始まる助詞が続いた場合、終声が鼻音化してㅁ、ㅇとなるので注意しましょう。鼻音で始まる助詞が続いた場合、終声が鼻音化している可能性がある、と疑うことを忘れないでください。

『トウミ』の3級語彙リストのうち、上で述べたような点に注意すべき漢字語を確認してみましょう。

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第 50 回2017年7月5日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (10):漢字語の理解⑧- (執筆者:奎星)

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今回も、最も重要な置き換え規則を適応する上で心掛けるとよい点について見てみましょう。

■ 字音仮名遣いにチャレンジ
最も重要な置き換え規則を適応する上で心掛けるとよい最後のポイントは、字音仮名づかいから現代の仮名づかいに置き換える必要がある語があり得るということです。
実際にチャレンジしてみましょう。감상は日本語でどうなるでしょうか?

では、これまでと同じく、『トウミ』の3級の語彙リストからいくつか取り上げて練習してみましょう。

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第 49 回2017年6月1日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (9):漢字語の理解⑦- (執筆者:奎星)

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前回に引き続き、最も重要な置き換え規則を適応する上で心掛けるとよい点について見ることにします。

■ 終声付きのㅓはㅕ要注意
初声、母音、終声とそれぞれに最も重要な置き換え規則がありましたが、中でも母音がㅓやㅕである場合は少し気を付けましょう。
まず、他の母音と違って、ㅓやㅕは、終声までがひとまとまりとなって、「エン、エイ…」と置き換わるんでしたよね。
  검사 (ケンサ 検査)、천만 (センマン 千万)、세(=서 + ㅣ)기 (セイキ 世紀)
また、終声ㅇは、最も重要な置き換え規則では多くの場合「ウ」に置き換わりますが、母音がㅓやㅕである場合は、「イ」に置き換えます。
  성공 (セイコウ 成功)、전공 (センコウ 専攻)、정리 (セイリ 整理)、정부 (セイフ 政府)
さらに、ㅓやㅕどちらであっても、日本語では「エ」になります。
 경영 (ケイエイ 経営)、명령 (メイレイ 命令)、신경 (シンケイ 神経)、
もちろん、前回お話ししたように、実際には文脈が大きな手掛かりになるでしょう。

■ まずは清音、だめなら濁音や半濁音
ご周知のとおり、日本語には清音(例:ハ行)と濁音(例:バ行)、半濁音(パ行のみ)があります。そのため、韓国・朝鮮語の初声に対して、清音が対応したり、あるいは濁音や半濁音が対応したりします。
韓国・朝鮮語の初声は、最も重要な置き換え規則に則って、まずは清音に置き換えてみて、それでも文脈上しっくりこなければ、前から順に濁音や半濁音に置き換えてみましょう。
では、実践です。

  속도가 빨라요. 좀 더 천천히 말해 주세요.

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第 48 回2017年5月1日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (8):漢字語の理解⑥- (執筆者:奎星)

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前回まで5回にわたり、初声にはじまって、終声、母音と、「最も重要な置き換え規則」について見てきました。
今回は、練習問題を解きながら、ここまでの「最も重要な置き換え規則」について実践的に確認してみることにしましょう。その過程で、ご自身の語彙力に変化が見られるかどうか是非確認してみてください。
練習問題に入る前に、ここまで見て来た最も重要な置き換え規則について、一覧にまとめてみましょう。

ご存知のとおり、韓国・朝鮮語は、正書法で書かれたとおりに発音されず、文字と音の間にズレが多くあります。初級の段階でも、음악と書いて[으막]と発音することにとまどい、いろいろと苦労なされたかと思います。これは、漢字語も例外ではありません。今までに見て来た置き換え規則は、あくまでも漢字一字の音の対応関係でしたが、漢字が連なり語を作り上げる上で、それらの音にも変化が生じ、書かれたとおりに発音されない、といった現象が起こります。
そこでまず、今回は、文字の上ではもちろん、聞き取りにおいてもさほど支障をきたさないと思われるものを中心に取り上げ、練習してみたいと思います。取り上げる語彙は、すべて『トウミ』の3級のリストに掲載されているもので、なおかつ「감동(感動)=カンドウ(感動)」のように、韓国・朝鮮語の漢字語と日本語の漢語が、そのまま対応するものです。
ではさっそく。반대は日本語でどうなるでしょう? 一文字(正しくは、一音節)ずつ、初声、母音、終声に分解して置き換え規則に当てはめてみましょう。

正解は「反対」ですね。いかがでしたか? 意外と簡単でしたか? それとも思いのほか難しかったですか? 難しかったという方もご安心を。まずは、以下に挙げる何点かを心掛けて頂ければ、格段と簡単に感じるかと思います。

① 実際の読み聞きでは、文脈があるのでご安心を
② 終声付きのㅓはㅕ要注意
③ まずは清音、だめなら濁音や半濁音
④ 字音仮名づかいにチャレンジ

今回は、このうち、①について確認し、残りは次回見ることにしましょう。

■ 実際の読み聞きでは、文脈があるのでご安心を
実際のコミュニケーションでは、必ず文脈があります。文脈は文の場合もあるでしょうし、前後の発話である場合もあるでしょう。また、言語以外の文脈もあるでしょう。つまり、何の文脈的手掛かりもなしに、漢字語の意味を考えなければならない状況はそう多くないということです。
ですので、置き換え規則に則って置き換えつつ、文脈を手掛かりに、文脈に最もしっくりくる日本語の漢語を探し当てればいいということになります。
実際に試してみましょう。비용は日本語でどうなりますか? 最も重要な置き換え規則に従って置き換えて、正解にたどり着けなかったという方、次の文を読んでみて下さい。

ㄱ: 여행 비용이 얼마나 들어요? ㄴ: 좀 비싸요. 2박 3일로 3만엔이요.

いかがですか? 文脈を手掛かりに、正解にたどり着けた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このように、実際のコミュニケーションでは必ず文脈がありますので、それをフルに活用することを心掛けて下さい。
以下に、例題を挙げます。まずは、表の左の単語だけ見て置き換えてみましょう。それでもよく分からなければ、二列目の文(文脈)を手掛かりに、考えてみてください。

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第 47 回2017年4月14日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (7):漢字語の理解⑤- (執筆者:奎星)

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■ 最も重要な置き換え規則③:母音の対応②
今回は、前回に引き続き、母音の最も重要な置き換え規則のうち、残りの3つについて見てみましょう。前回同様、例は初声や終声も最も重要な置き換え規則に当てはまるものだけを挙げていますので、これらの規則についてもしっかり復習しながら読み進めていただければと思います。

④ ㅓ, ㅕ : 終声がある場合 エ
韓国・朝鮮語の漢字音の母音ㅓ, ㅕは、注意すべきです。日本語で考えると「オ」に置き換わると誤解してしまいそうですが、ひとまず「エ」に置き換えられる、と覚えておきましょう。ただし、これは以下の例に見るように、すべて終声がある場合の話です。終声とひとかたまりで、「エン、エキ、エツ、エイ…」のように置き換わると覚えましょう。

• エン: 健(건 ケン)、検(검 ケン)、憲(헌 ケン)、年(년(연) ネン)、念(념(염) ネン)、連(련(연) レン)、面(면 メン)
• エキ: 歴(력(역) レキ)、石(석 セキ)、籍(적 セキ)、戚(척 セキ)、駅(역 エキ)
• エツ: 傑(걸 ケツ)、欠(결 ケツ)、血(혈 ケツ)、列(렬(열) レツ)、滅(멸 メツ)、別(별 ベツ)、説(설 セツ)、節(절 セツ)、閲(열 エツ)
• エイ①: 警(경 ケイ)、形(형 ケイ)、令(령(영) レイ)、名(명 メイ)、兵(병 ヘイ)、省(성 セイ)、精(정 セイ)、映(영 エイ)
• エイ②: 掲(게 ケイ)、計(계 ケイ)、恵(혜 ケイ)、例(례(예) レイ)、閉(폐★페 ヘイ)、制(제 セイ)、鋭(예 エイ)

終声がㅂの場合も、いったんは「えふ」と置き換え、字音仮名遣いを現代の仮名遣いに置き換えられて、「えふ>ヨウ」とすればOKです。「てふてふ(蝶蝶)」が「チョウチョウ」となる、あれですね。

• えふ>ヨウ: 怯(겁 けふ>キョウ)、協(협 けふ>キョウ)、猟(렵(엽) れふ>リョウ)、渉(섭 せふ>ショウ)、牒(첩 てふ>チョウ)、葉(엽 えふ>ヨウ)

ㅓの前に/w/が付いたㅝも、日本語では「エ」になります。日本語にも以前は、/we/を記すためのワ行の「ゑ、ヱ」という字がありましたが、今ではすべて「え、エ」で記しますので、ㅝは「エ」になると考えれば大丈夫です。
• ゑん>エン: 権(권 ケン)、円(원 ゑん>エン)
• ゑつ>エツ: 蹶(궐 ケツ)、越(월 ゑつ>エツ)

⑤ ㅗ : オ (ウ)
韓国・朝鮮語の漢字音の母音ㅗは、ひとまず「オ」に置き換わると覚えましょう。
• 古(고 コ)、婚(혼 コン)、都(도 [...]

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第 46 回2017年3月1日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (6):漢字語の理解④- (執筆者:奎星)

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■ 最も重要な置き換え規則③:母音の対応①
これまで、「最も重要な置き換え規則」として初声と終声の置き換え規則について見てきました。残すは母音ですね。
ではさっそく母音の置き換え規則のうち、最も重要なものから見ていくことにします。ただし、ここで注意していただきたいのは、これまでもそうでしたが、「最も重要な置き換え規則」としている点です。「最も重要」としているのは、この規則には当てはまらず、また他の規則を適用しなければいけない場合があるからです。初声や終声もさることながら、特に母音は、これからお話しする規則に当てはまらないものも多く、実は最も複雑な様相を呈しています。
しかし、決して怖気づかないでください。まずは今からお話しする「最も重要な置き換え規則」を覚えて、慣れてきてから次に重要な置き換え規則を覚える、といった具合に、焦らずゆっくり進めていきましょう。
韓国・朝鮮語の漢字音の母音は、まず次のような置き換え規則で日本語の漢字音の母音に置き換えることができます。

 ㅏ  → ア
 ㅣ, ㅢ  → イ
 ㅜ  → ウ
 ㅓ, ㅕ  → 終声がある場合:エ
 ㅗ  → オ (ウ)
 ㅚ  → ワイ

「ㅡ」など韓国・朝鮮語の漢字音で実際に使われているにもかかわらずここに無い母音は、また別の機会にお話しすることにして、まずは上に挙げた置き換え規則について、二回に分けて順を追って見ていくことにしましょう。なお、例は初声や終声の最も重要な置き換え規則に当てはまるものだけを挙げてあります。前回までにお話ししたこれらの規則についても、復習しながら読み進めて頂ければと思います。

① ㅏ : ア
韓国・朝鮮語の漢字音の母音「ㅏ」は、日本語の漢字音で「ア」に置き換えられます。

亜(ア)、加(カ)、学(학 ガク)、難(난 ナン)、覧(らむ>ラン)、脱(탈 ダツ)、材(재 ザイ)

韓国・朝鮮語の漢字音の母音「ㅑ」や「ㅘ」なども、まずは「ㅏ : ア」に置き換え、残りの半母音を見て、/y/なら「ヤ」、/w/なら「わ」に置き換えます。このうち「わ」は字音仮名づかいで言う「わ」で、現代仮名づかいでは「ア」となります。難しければ、/w/を無視して、「ㅘ=ア」と考えても構いません。

ㅑ:ヤ - 野(야 ヤ) ㅘ:わ>ア - 関(관 くゎん>カン)

ちなみに、次のような場合も字音仮名づかいでは「あ」や「や」、「わ」であるもので、現代仮名づかいでは「あう>オウ」、「あふ>オウ」、「やう>ヨウ」、「わう>オウ」のようになります。

あう>オウ :双(쌍 さう>ソウ)   あふ>オウ :答(답 たふ>トウ)
やう>ヨウ :陽(양 やう>ヨウ)   わう>オウ :王(왕 わう>オウ)

ただし、字音仮名づかいでは「すゎ」などありません。次のように「ㅈ」に「ㅘ」が続く場合は、/w/は無視してそのまま「ア」に置き換えればOKです。

左(좌 サ)、座(좌 ザ)

② ㅣ, ㅢ : イ
韓国・朝鮮語の漢字音の母音「ㅣ」ならびに「ㅢ」は、日本語の漢字音で「イ」に置き換えられます。ちなみに、「ㅢ」が用いられるのは、의もしくは희という漢字音しかなく、의であれば「イ」、희であれば「キ」に置き換えます。

気(기 キ)、林(림 りむ>りん)、新(신 シン)、密(밀 ミツ)、秘(비 ヒ)
医(의 イ)、希(희 キ)

ちなみに、次のような場合も、字音仮名遣いでは「イ : ㅣ」ですね。

十(십 じふ>ジュウ)、集(집 しふ>シュウ)

また、「ㅟ」も、日本語では「イ」に置き換わります。「ㅟ」は正確には「wi」で、日本語にも以前はこれを示すためのワ行の「ゐ ヰ」という字がありましたが、今ではすべて「い イ」で書きます。

  偉(위 イ)、貴(귀 キ)、揮(휘 キ)

③ ㅜ  : ウ
韓国・朝鮮語の漢字音の母音「ㅜ」は、日本語の漢字音で「ウ」になったり、「オ」になったり(それ以外が対応することもあります)と幾分複雑ですが、ひとまず「ㅜ」は「ウ」に置き換える、と覚えることにしましょう。

屈(굴 クツ)、訓(훈 クン)、紛(분 フン)、宇(우 ウ)

ここまで、母音の「最も重要な置き換え規則」を三つほど見てきました。残りの三つは、また次回。
最初にお話したように、母音の置き換え規則は幾分複雑ですが、まずは「最も重要な置き換え規則」を覚えて、慣れてきてから次に重要な置き換え規則を覚える、といった具合に、焦らずゆっくり進めていきましょう。

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第 45 回2017年2月3日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (5):漢字語の理解③- (執筆者:奎星)

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■ 最も重要な置き換え規則②:終声(音節の最後に来る子音)の対応②
今回は、前回お話しした終声の置き換え規則を、一つずつ順を追って確認してみましょう。
初声の置き換え規則も確認できるよう、初声ごとに例を挙げていきたいと思います。
母音は原則、「ㅏ=ア」となるものを選んでいますが、該当する漢字がなかったり、日本語の清濁に当てはまるものがなかったりする場合は、「ㅣ=イ」になるものなどを挙げてあります。

① -ㅁ、 -ㄴ : -ン
‘ハングル’の漢字音の-ㅁと-ㄴは、共に日本語の「-ン」に置き換えられます。

日本語でも、字音仮名遣いでは、「-む」と「-ん」の区別があり(例えば、「山」は「サン」、「南」は「なむ>ナン」)、‘ハングル’の漢字音で-ㅁと発音されるもの(「南」は남)は「-む」、-ㄴと発音されるもの(「山」は산)は「-ん」が対応していましたが、日本語で「-む」も「-ん」も共に「-ン」になったので、このような対応関係ができあがりました。
ここで注目すべきポイントは、‘ハングル’の漢字音で-ㅇとなるものは、日本語では「-ン」にならないということ。この点については④で確認しましょう。

② -ㄹ : -ツ (-チ)
‘ハングル’の漢字音の-ㄹは、日本語の「-ツ」に置き換えられます。

日本語で「-チ」となるのは、例えば「일 一(イチ)、칠 七(シチ)、팔 八(ハチ)」などがあります。ちなみにこれらの音読みは、呉音と呼ばれるものなのですが、呉音などの音読みの種類については、また別の機会に確認しましょう。

③ -ㄱ : -ク (-キ)
‘ハングル’の漢字音の-ㄱは、日本語の「-ク」に置き換えられます。

日本語で「-キ」となるのは、例えば表中の「激(격 ゲキ)」や、「歴(력 レキ)、席(석 セキ)」のように、主に前の母音が「エ」である場合です。ただし、「式(식 シキ)、識(식 シキ)」のように、「イ」の後ろでも「ク」ではなく「キ」となることがあります。

④ -ㅇ : -ウ (-イ)
日本語母語話者には-ㅁ、-ㄴとともに撥音の「ン」のように聞こえる-ㅇですが、‘ハングル’の漢字音の-ㅇは、日本語の「-ウ」に置き換えられます。

‘ハングル’の漢字音を見ると、母音がㅏだったりㅗだったりしますね(ㅐなどはとりあえず置いといて)。このうちㅏであるものは、字音仮名遣いで「あう>オウ」となるもの(例えば、「抗」は「かう>コウ」)で、日本語でも本来「あ」であったと考えられるものです。この点については、母音の置き換え規則を見る際に、改めて見ることにしましょう。
日本語で「-イ」となるのは、例えば表中の「英(영 エイ)、坪(평 ヘイ)」や、「軽(경 ケイ)、寧(녕 ネイ)、丁(정 テイ)」のように、前の母音が日本語で「エ」である場合です。

⑤ -ㅂ : -ふ>ウ
‘ハングル’の漢字音の-ㅂは、-ㅇと同じく日本語の「-ウ」に置き換えられます。これは、日本語の字音仮名遣いで例えば「蝶」を「てふ」と書いていたのが、現代仮名遣いでは「チョウ」と書かれるようになった結果によるものです。ですので、例えば「甲(갑)」などは、ひとまず、初声や母音の置き換え規則なども考慮して「かふ」と置き換え、「かふ」だから現代では「コウ」だな、といった感じで置き換えればOKです。

⑥ -ㅣ : -イ
前回も少しお話ししたように‘ハングル’の漢字音で、文字で書いた場合に「ㅣ」を含むもの、すなわち「ㅐ、ㅔ、ㅖ、ㅙ、ㅚ、ㅟ」などの「ㅣ」は終声と同じように考えて置き換えます(ただし、「ㅢ」の「ㅣ」は別)。例えば、「ㅐ」は「ㅏ + ㅣ」で「アイ」と考えます。

ただし、上のように考えるのは、あくまで‘ハングル’の漢字音で本当の終声がない場合で、「白(백 ハク)」のように終声がある場合、「-ㄱ」が終声で、「ㅐ」は日本語で一つの母音に置き換えられます。

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第 44 回2017年1月6日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (4):漢字語の理解②- (執筆者:奎星)

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■ 最も重要な置き換え規則②:終声(音節の最後に来る子音)の対応①
前回は子音の中でも、音節の頭に来る子音、つまり初声の置き換え規則について見ましたが、今回は終声、すなわち音節の最後に来る子音の置き換え規則について見てみましょう。
終声の置き換え規則を考えるにあたってまず重要になって来るのは、韓国・朝鮮語の漢字音と日本語の漢字音の子音や母音の捉え方です。ですので、今回は、韓国・朝鮮語の漢字音と日本語の漢字音の子音や母音の捉え方について、まず確認したいと思います。

上に見るように、韓国・朝鮮語の漢字音では一文字で書かれるものが、日本語の漢字音では二文字にまたがっています。日本語の漢字音で、この後ろに来る文字のところが、韓国・朝鮮語の漢字音の終声に当たるんですね。
上の例のように、撥音「ン」ですと、当たり前のように思われるかも知れませんが、この後ろに来る文字には、次のようにいくつかのバリエーションがあります。まずは日本語で「ク」や「ツ」のように「子音+母音」が対応する例から。

次に見るように、日本語では母音だけが対応する場合もあります。

これと関連して、次のように、現代語の観点からはハングルには終声がない場合でも、文字の後ろの「ㅣ」を終声のように考えて置き換えることがあります。この点については母音の置き換え規則を見る際にさらに詳しく見ますので、ここでは確認程度にとどめておきたいと思います。

では、上のような問題を踏まえて、終声の置き換え規則を見てみましょう。終声の置き換え規則は、最もシンプルで、例外も少ないので、頑張って覚えてみてください。

いかがですか? 初声の場合よりシンプルですよね?
また、上の対応関係からも明らかなように、韓国・朝鮮語の漢字音で、終声はパッチムとして書かれる「ㅁㄴㄹㄱㅇㅂ」の6つと「ㅣ」しかありません。現代語の終声で言う「ㄷ」は漢字音にはありませんし、その他パッチムとして使われている「ㅅㅈㅊ…」などの子音字も、漢字音では用いられません。
次回、この終声の置き換え規則について、具体的な例とともに詳しくみていくことにしましょう。

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第 43 回2016年12月1日

Q.単語をがむしゃらに暗記する必要はないってどういうこと? -漢字語編 (3):漢字語の理解①- (執筆者:奎星)

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韓国・朝鮮語と日本語の漢字音の対応関係と言った場合、大きく、

① 韓国・朝鮮語の漢字音を日本語の漢字音に変える場合と、
② 日本語の漢字音を韓国・朝鮮語の漢字音に変える場合

の二つがあります。
今回からしばらくは、このうち、①、つまり、「韓国・朝鮮語の漢字音を基準に、日本語ではどのような漢字音が対応するのか」という問題について考えてみましょう。なぜかって? 韓国・朝鮮語の漢字音を日本語の漢字音に直すということは、理解力アップにつながる問題です。言語を学ぶ上でまずは理解から、というのが王道だと考え、まずは①から見ていきましょう。いまひとつは、どちらかというと、①が②よりもシンプルだからです。まずは①を学ぶ過程に漢字の韓国・朝鮮語の読みに慣れておけば、②をもっと楽に考えられるはずです。
では、いよいよ韓国・朝鮮語の漢字音に対して、どのような場合にどのような日本語の漢字音が対応するのかについて順を追って見ていきましょう。

■ 最も重要な置き換え規則①:初声(音節の頭に来る子音)の対応
가のㄱ、나のㄴのように、音節の頭に来る子音を「初声」と言うのはご存知かと思います。ちなみに、아は文字の上ではㅇがありますが、初声はないことになります。
まずはこの初声が日本語の漢字音では何に対応するかを見てみましょう。これからは、韓国・朝鮮語の漢字音を日本語の漢字音に置き換える際の規則という意味で「置き換え規則」と呼ぶことにします。
韓国・朝鮮語の漢字音の初声は、まず次のような置き換え規則で日本語の漢字音の最初の子音に置き換えることができます。

• ㄱ (ㅋ ㄲ) → カ行、ガ行
• ㅎ → カ行、ガ行
• ㄴ → ナ行
• ㄷ ㅌ → タ行、ダ行
• ㄹ → ラ行
• ㅁ → マ行
• ㅂ ㅍ → ハ行、バ行
• ㅅ (ㅆ) → サ行、ザ行
• ㅈ ㅊ → サ行、ザ行
• なし〈ㅇ〉 → ア行、ヤ行、ワ行

いかがですか? これならひとまず覚えられそうな気がしませんか?
上の置き換え規則を見ると明らかなように、韓国・朝鮮語では、例えば「か」と「が」のような清濁の区別がありませんので、韓国・朝鮮語のㄱに対して、日本語ではカ行が対応したりガ行が対応したりしていますね。逆に韓国・朝鮮語には、日本語にはない平音(ㄱ)、激音(ㅋ)、濃音(ㄲ)の区別がありますので、それらがひとまとまりで日本語の音に対応しています。
この際、韓国・朝鮮語の平音ならば日本語の濁音が対応するだとか、激音ならば清音が対応するだとかあればいいのですか、残念ながらそうはいきません。なので、いったんは日本語の清音に置き換えてみて、文脈上ぴったりな漢字に行きつかなければ濁音にしてみる、といった感じで置き換えていきましょう。ただ、激音のㅌだと日本語で清音のタ行が対応することが多いとか、同じく激音のㅍだと清音のハ行が対応することが多い、などの傾向は見られます。
それでは具体的な漢字を例に、この置き換え規則を表にまとめてみましょう。

さて、表を見ると、ㅋやㄲ、そしてㅆを( )で囲んであるのが分かるかと思います。これは、これらの初声が現在の韓国・朝鮮語の漢字音でほとんど用いられないということです。次の表をご覧ください。

ㅋやㄲで始まる漢字はそれぞれ1字のみ、そしてㅆで始まるのは2つしかありません。
次に、表のㄹをご覧ください。例の韓国・朝鮮語の漢字音のところに、「라(나)」と書いてあります。これは、韓国・朝鮮語の漢字音は本来라ですが、韓国の現行の正書法では「頭音規則」が適用され、나と読み書きされることがあるという意味です。この「頭音規則」についてはまた別の機会に見ることにしましょう。
最後の行にある「わう>オウ」というのは、前回お話しした字音仮名遣いで「わう」と書かれ、現在では「オウ」と読み書きされている、という意味です。
はじめにも確認したように、ㅇは初声がないということを意味するので、母音のところで見てもいいのですが、日本語ではヤ行や、前回お話しした字音仮名遣いで言う「わ行」(わゐうゑを)が対応したりして、日本語の漢字音では子音があるようにも捉えられますので、一応ここでも確認しておきましょう。(詳しくは、母音の置き換え規則を見る時など、必要に応じて確認することにします。)
ここまで、韓国・朝鮮語の漢字音の初声の置き換え規則の中で、最も重要だと思われるものを見てきました。
規則を学んだので、いざ実践、といきたいところですが、母音の置き換え規則まで学んだ方がより実践的ですので、はやる気持ちはおさえて、まずはこの規則だけをしっかり覚えてください。

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